DIC–CTが有用であった鈍的外傷による総胆管完全断裂の1例(A case of complete transection of the common bile duct due to blunt abdominal trauma in which DIC–CT was useful for diagnosis)

Abstract

要旨症例は19歳の女性。軽自動車運転中に受傷した。腹部造影CTで少量の腹腔内貯留液を認め，肝・膵損傷が疑われた。全身状態は安定しており，保存的加療とした。入院後，症状は徐々に改善し，第7病日より経口摂取を開始した。その後腹部膨満が増強し，第10病日の腹部CTにて腹水が著明に増量していた。腹水穿刺では胆汁様であり，DIC–CTにて下部胆管損傷が確認されたため，手術を施行した。術中所見から総胆管断裂と診断し，胆管空腸吻合を施行した。その後第26病日に軽快退院となった。鈍的腹部外傷による総胆管損傷は，特異的な所見に乏しく，診断が遅れることがある。本症例では，DIC–CTが診断に有効であった。