A Study on Town Planning and Evaluation of Industrial Heritage Tomioka Silk Mill

Abstract

This study combined covariance structure analysis and PSM in a quantitative evaluation of the value of the Tomioka Silk Mill as an industrial heritage. This study also investigated problems in town planning, based on differences in the evaluation structure between tourists and residents. According to residents, many things need improvement, such as various facilities and landscape. Therefore, it was suggested that the environs of the Mill should be established. By establishing the environs of the Mill and measures to landscape, environmental improvements and positive settlement effects can be achieved. Measurement 富岡製糸場, 産業遺産, まちづくり, 共分散構造分析, PSM 法 １．はじめに 観光立国推進基本法に基づいて 2012 年 3 月に閣議決定した 「観光 立国推進基本計画」に基づき、国は観光立国の実現に関する施策を 総合的・計画的に推進している。例えば、観光立国の実現に向けた 取組みでは、観光旅行の促進のための環境の整備としてニューツー リズムを推進している。地域の特性を活かし、かつ多様化する旅行 者のニーズに即した観光を提供するエコツーリズム・グリーンツー リズム・文化観光・産業観光・ヘルスツーリズム・スポーツツーリ ズムなどの振興を図っている。 産業観光とは、 「歴史的・文化的価値のある工場等やその遺構、機 械器具、最先端の技術を備えた工場等を対象とした観光で、学びや 体験を伴うもの」である。このため、地域における産業観光資源を 巡るツアーの企画や遺構の優れた価値の普及の取組を推進する活動 などが行われている。特色ある地域の産業や工場、商店街、異業種 の幅広い事業者の連携など、個別の事業者では対応が困難な立ち上 がり期における共通基盤づくりなどの新たな観光・集客サービスの 開発を支援する動きを加速している。 群馬県は、美しい自然や豊富な温泉、特色ある地域文化や歴史遺 産などの観光資源を有し、 これらを生かした観光の振興を図るため、 1987 年度から群馬県観光振興基本計画を策定して観光行政を推進 している。 同計画 「はばたけ群馬観光プラン 2013-2015」 によると、 群馬県の西部エリアは、新幹線・高速道路などの高速交通網の結節 点である高崎市を中心とした都市部から山間部までの広がりを持ち、 2014 年に世界遺産登録見込みの「富岡製糸場と絹産業遺産群」を構 成する 4 資産のうち、富岡製糸場(富岡市) ・高山社跡(藤岡市) ・ 荒船風穴(下仁田町)の 3 つが存在する中核エリアであり、今後の 群馬県の観光誘客にとって鍵となる地域といわれている。 本研究の対象地域である富岡市では、世界遺産登録の波及効果を 関係市町村と群馬県経済に取り込み、地域資源を活かした魅力ある 観光地づくりを進め、リピーターの訪れる滞在型観光地を確立する ために 2015 年度までの 3 年間を推進期間とする観光戦略を 2013 年 5 月に策定した。富岡製糸場のブランド力を最大限活かし、歴史的 建造物や街並みなどの地域資源を使った着地型観光旅行商品を開発 して観光誘客を促進する「滞在型観光地の確立」 、観光ボランティア ガイドの養成やおもてなし意識の醸成を図る「地域主体の観光まち づくり」 、地域の食材を活用した富岡料理のブランド化を推進する 「食のブランド化」を戦略の三本柱としている。また戦略の体系とし て、 「滞在型観光地づくり」 、絹産業遺産群関係自治体との連携など の「観光ネットワーク構築」 、駐車場や歩行者動線の整備などの「受 入体制整備」 、富岡製糸場近くのまちなか観光物産館の運営などの 「食や物産・特産品の魅力向上」 、鉄道事業者との連携などの「戦略 的な情報発信」が挙げられている。 本研究は、歴史的産業遺産である富岡製糸場の価値評価を踏まえ た上で新たな観光産業としての観光まちづくりについて、観光客と 地域住民を対象とした調査分析結果から考察したものである。 *前橋工科大学大学院環境・生命工学専攻 大学院生・修士(工学) Graduate Student