病院前救護活動における小児外傷患者に対する医療資機材の装備状況：全国調査(Prehospital medical equipment for care of pediatric injury patients in Japanese ambulances: a nationwide survey)

Abstract

要旨【目的】病院前救護活動における小児外傷患者に対する医療資機材の装備状況を調査すること。【対象】2019年，全国728消防本部の救急責任者に対しアンケート調査を実施した。病院前救護における小児外傷患者に対する小児用医療資機材の配備状況を，資機材の種類とサイズをもとに調査した。0～14歳の小児傷病者の対応に必要な全サイズの医療資機材を装備している場合を完全版小児セットと定義した。【結果】599消防本部から回答を得た（回答率82%）。596本部（99.5%）が小児用資機材を配備していると回答した。一方で，完全版小児セットの装備率は，血圧計カフで5%，経鼻エアウェイ1%，経口エアウェイ7%，喉頭鏡6%，上気道デバイス13%，気管挿管チューブ，バッグバルブマスク23%と極めて低かった。さらに，今回調査した14種類の医療資機材のすべてにおいて完全版小児セットを装備していた消防本部はなかった。【結語】ほぼすべての消防本部が小児用資機材は装備していると回答したが，全年齢層の小児外傷患者に対して病院前救護を実施するため必要な小児用医療資機材の装備は不十分であった。