本邦における医師・救急救命士・看護師の骨髄内輸液路確保手技の比較(Comparison of intraosseous routes insertion between doctors, EMTs, and nurses in Japan: training course using chicken bones)

Abstract

要旨【目的】骨髄内輸液路（以下，骨髄路）確保は，小児の心停止や重症患者に対して有用であるが，本邦で施行可能な職種は医師のみである。医師，救急救命士（以下，救命士），看護師の職種ごとの骨髄路確保成功率と手技時間を比較検討した。【方法】用手で行う骨髄針（以下，MAN–IO）と，電動式骨髄穿刺キット（以下，EZ–IO）を用いて，各挿入方法ビデオを閲覧後，鶏肉の大腿骨に挿入した。外傷コース受講生291名の全手技をビデオで撮影し，成功率，施行時間を測定した。【結果】248名が解析対象となった。成功率は職種間で有意差を認めなかった（MAN–IO 1回目：医師60.9% vs. 救命士68.1% vs. 看護師61.1%，p=0.53；EZ–IO 1回目：医師80.4% vs. 救命士78.7% vs. 看護師75.9%，p=0.80）。成功時の穿刺時間も職種間で有意差を認めなかった（MAN–IO：医師12.5s vs. 救命士11.5s vs. 看護師13.4s，p=0.49；EZ–IO：医師5.34s vs. 救命士5.25s vs. 看護師4.84s，p=0.58）。【結語】救命士や看護師も，医師と同等に骨髄路確保ができることが示された。本邦の救命士の輸液路確保手技として，骨髄路確保は有用と考えられる。