小児重症救急患者に対するモバイル版初期診療ツールの開発(Development of a new application in the medical care of critically ill pediatric patients)

Abstract

要旨患者情報を事前に得ることが困難な救命救急センターの初期診療では，身長に基づき至適な医療資機材や薬剤投与量を決定できる小児救急シートが有用とされる。本研究では，既存のシートを改良したモバイル版小児初期診療ツールを開発し試行した。救命救急センターに勤務する医師10名を対象に，小児重症患者の初期診療を想定したシミュレーションを行い，モバイル版小児初期診療ツールの迅速性と正確性を検証した。新ツール導入前後でアンケート調査を行い，小児診療に対する不安度の変化を検証した。PediaTape© を用いて患児を9つの色で識別し，識別した色ごとに至適な医療資機材や薬剤投与量を選択する機能と，生理学的徴候から緊急度を判定する機能をもつ，アプリケーションソフトウェアとして使用できるモバイル版小児救急ツールを開発した。モバイル版小児救急シートを使用した群では，非使用群と比べ，至適な医療資器材や薬剤投与量が迅速かつ適切に選択されていた。また，新ツールの導入により，至適な医療資機材や薬剤料の選択に関する不安やバイタルサインから緊急度を判断する際の不安は軽減していた。新ツールは実際の小児初期診療において実用できる可能性が示唆された。