シベンゾリン中毒による心肺停止に対して経皮的心肺補助装置を使用して救命し得た1例(A case of cardiopulmonary arrest caused by overdose of cibenzoline that was successfully treated with extracorporeal membrane oxygenator)

Abstract

要旨 症例は38歳の男性。妻と口論になり，自殺目的にコハク酸シベンゾリン50mgを150錠内服した。服用1時間17分後に嘔吐を認めたため，服用1時間21分後に救急要請した。服用1時間32分後の救急隊到着時は意識状態および循環動態は良好であった。服用2時間2分後の当院搬送時はGCS E3V4M5（JCS II–10）の意識障害を認め，モニター心電図装着時はwide QRSを呈していた。直ちに体外式膜型人工肺（V–A extracorporeal membrane oxygenation: V–A ECMO）を導入した。来院時の心臓超音波検査では左室全周性に高度壁運動低下を認めたが，時間経過とともに壁運動の改善を認め，第2病日にV–A ECMOを離脱し，第11病日に退院した。抗不整脈薬の過量服薬の際には，厳重な全身モニタリングを行い，循環動態に変容を来す中毒症状を認めた場合には，躊躇することなくV–A ECMOなどの補助循環による全身管理を行う必要がある。