クリオプレシピテートを用いて出血性ショックを離脱できた小児頭部外傷の1例(Pediatric head trauma presented with hemorrhagic shock and treated by cryoprecipitate: a case study)

Abstract

要旨 症例は5歳の男児。自動車乗車中の事故で受傷した。外傷性脳損傷に加え頭皮剥離創からの出血により，ショックバイタルかつ凝固障害を来しており，創部止血に加えクリオプレシピテートを含む大量輸血プロトコルを発動して蘇生した。外傷性凝固障害のある大量出血患者に対してクリオプレシピテートを投与することは推奨されているが，本邦の小児外傷患者に対してクリオプレシピテートを投与した報告は少ない。また，本邦の小児外傷患者に対して大量輸血プロトコルを発動した報告も少ない。本症例は，小児外傷患者に対しクリオプレシピテートを含む大量輸血プロトコルを発動し出血性ショックによる代謝性アシドーシスと凝固障害を是正することができたので報告する。