The impact of protected values on acceptance and procedural fairness of public projects

Abstract

要約 公共事業に関わる意思決定問題において、他の価値とのトレード・オフを忌避する「保護価値」が介在する場合、異な る価値間の比較衡量が出来ず、円滑な合意形成を図ることが困難となる可能性がある。本研究では、公共事業の意思決 定手続きに着目し、費用便益分析、慣例・法令遵守、多数決ルール、話し合いの 4 つの方法を取り上げて、保護価値保 持者の受容意識及び手続き的公正感との関連について実証的に検討することを目的とした。アンケート調査(n = 300) より、保護価値が非帰結主義的な義務論的ルールと関連していることを示す結果が得られた。また、保護価値保持者に おいては、費用便益分析によって事業が採択された場合に、その他の方法に比べて、当該事業に対する受容意識が低い 傾向が見られた。さらに、手続き的公正に関わる評価指標においても同様の傾向が確認された。最後に、本研究の結果 が公共事業に関わる合意形成問題に示唆する点について考察した。