Study of Longer Continuous Composite Two I-Girder Bridges Utilizing the Bridge High Performance Steels

Abstract

橋梁用高性能鋼材の活用と従来鋼との組み合わせおよび最適配置により，連続合成2主I桁橋の長支間化 の実現可能性についての検討を実施した．まず，道路橋示方書の考え方をベースとして，橋梁用高性能鋼 材を使用する上で必要となる許容応力度および鋼桁断面の最小板厚の定式化を行った．次に，フランジの 局部座屈と桁の横倒れ座屈に関して，橋梁用高性能鋼材と現行の鋼材との違いを明らかにした上で，想定 実橋を対象とした概略設計を行い，構造特性と経済性について考察した．これらの検討を踏まえた上で， 橋梁用高性能鋼材を用いた連続合成2主I桁橋の長支間化に伴って生じる問題点について考察し，その対応 策に対する提言を行った． Key Words : high performance steel, BHS, continuous composite two I-girder bridge, allowable unit stress 1. はじめに 高性能鋼材とは，汎用的に使用されている鋼材と比較 して，強度，じん性，溶接性，曲げ加工性，耐食性など において，より優れた性能を有する鋼種・鋼材の総称と 定義されている 1) ． これらの高性能鋼材のうち，橋梁分野においては，本 四連絡橋に代表されるような構造物の大型化への要求に 対し，汎用的に使用されている鋼材よりも引張強度の高 い高強度鋼を中心とした研究開発が行われ，薄肉化，軽 量化，構造合理化の実現を可能にしてきた． しかしながら，その一方で，高強度鋼の採用により， 構造上の問題点として，剛性低下，たわみや振動の増大， 座屈，疲労，製作・施工上の問題点として，溶接割れ， じん性低下，加工性低下などが浮き彫りとなった．その ため高強度鋼は，長大橋の一部に使用されている以外は， 積極的には採用されていないのが実情である． 最近，製鋼・圧延技術の技術革新と橋梁に要求される 性能に見合った鋼材開発の積極的な推進により，強度， 破壊じん性，溶接性，加工性，耐候性に優れた橋梁用高 性能鋼材(BHS: Bridge High performance Steel，以下，BHS 鋼と称す)として，BHS500，BHS500W(降伏強度σ y ≧ 500 N/mm 2 )，および，BHS700W(降伏強度σ y ≧ 700 N/mm 2 )が提案され，実用化に向けての研究開発が行わ れており 2) ，2005年3月には日本鉄鋼連盟において製品規 定されている 3) ．また，BHS500については，少数I桁橋を 想定した供試体を用いて，切断，孔あけ，切削，組立溶 接，突合せ溶接，現場溶接などの製作性評価試験が実施 され，SM490Yと同等な製作性能を有することが確認さ れている 4)～6) ． そこで本研究では，BHS鋼の特徴のうち，高強度の活 用に焦点を絞り，従来鋼との組み合わせ，および最適配 置により，連続合成2主I桁橋の長支間化の実現可能性に ついて検討することを目的とする． 同様の検討は，文献2)，文献7)でも実施されており， 支間長70 mの2径間連続合成桁において鋼重で10％以上 の低減が可能であることなどが既に示されている．しか しながら，これらは主としてAASHTOのLRFDによる検 討であるため，わが国の現行の設計に適用する場合の効 果は必ずしも明確ではない．また，BHS鋼を採用するに あたって，現行の設計基準のどの規定が決定項目となる かについては，必ずしも明確ではない． そこで，まず，新規提案された鋼材であるBHS鋼に対 して，道路橋示方書 8) の考え方をベースとして，試設計