Perspective of Semiconductor Technologies Contributed to the IoT Society

Abstract

Perspective of Semiconductor Technologies Contributed to the IoT Society 講座の開始にあたって 人工知能(AI)として広く用いられている GPU(グラフィクス・プロセシング・ユニット)ボードの中には，ついに， 人間の大脳皮質の神経細胞数 140 億個を超える 210 億個ものシリコントランジスタを搭載するものがでてきた．本来は 神経細胞数ではなくシナプスの数で勘定すべきだが，素子数で言えば人間の大脳の規模に匹敵する集積回路を 100 万円 で購入できる時代になったのである．このような半導体技術の進展により，AI やビッグデータが，いま，大きく花開い ている．これからは，AI やビッグデータ，第５世代移動通信システム(5G)などからなるサイバー世界と，ロボットや 電気自動車など物理法則が支配する物理世界の融合が進み，新しい価値が生まれると考えられている．これはサイバー フィジカルシステム(CPS)化とよばれる潮流である． このような潮流に沿って半導体技術の適用分野は広がり続けている． AI の発達にあわせて， 末端の感覚器 (センサー) や情報を可視化するディスプレイの高度化や多機能化は必然である．これらの分野ではこれまでにない材料の組み合わ せが花開きつつある．また，インターネットやクラウドコンピューティングを成り立たせているデータセンターの中で の膨大な情報のやり取りは，大容量光ファイバー通信技術によって行われている．すでに，データセンターでの電力消 費は全世界の電力消費の 1.3％に達している．現在の技術のまま，まったく省エネルギー対策がなされないと仮定する と，データセンターやネットワーク，エンドユーザでの情報処理や通信で消費される電力は 2030 年には世界全体で年 間 42PWh(ペタワット時)となり，現在の世界の消費電力の約 24PWh を大きく上回ると予測されている．情報処理や 通信，ロボット，電気自動車などにおける電力消費の高効率化は極めて重要な課題である．電力消費の高効率化を目指 すパワーエレクトロ二クス分野でワイドギャップ半導体が重要な地位を築きつつある． 今回，このような半導体材料やデバイスの最前線を紹介する以下のような 4 回の連載講座を企画した． 1. 電界効果トランジスターを用いたバイオセンサー 小池一歩 矢野満明(大阪工業大学) 2. 希土類添加半導体を用いた超狭帯域発光ダイオードとディスプレイ応用 市川修平 稲葉智宏 塩見圭史 館林潤 Dolf TIMMERMAN 藤原康文(大阪大学) 3. 界面顕微光応答法によるワイドバンドギャップ材料・電極界面の 2 次元評価 塩島謙次(福井大学) 4. 光通信デバイスの最近の進展 市野邦男(鳥取大学)