Methylene Chloride Intoxication Treated With Hyperbaric Oxygen Therapy

塩化メチレンに曝露し血中一酸化炭素濃度上昇，化学損傷を発症した1例(A chemical injury with high COHb concentration by exposure of chemical mixture containing methylene chloride)

“…塩化メチレンは無色透明の液体で，甘い，エーテル臭を呈するが，臭いで危険を感知することはできない程度である 1)。用途は多様でペイントリムーバー，医薬品製造，写真フィルム製造，天然物の抽出剤，工業洗浄剤などに用いられる化学物質である。揮発性が極めて高く吸入曝露が主な経路とされ，次に多いのが経皮吸収であり，体内半減期は約40分である。塩化メチレンは第2種有機溶剤であり，容器の確実な密閉や換気装置が整っている環境で使用・管理することが義務づけられている化学物質である 2), 3), 4)。…”

“…CO中毒の治療は酸素投与である 1), 2)。脂肪組織に分布した塩化メチレンは緩徐に代謝されることから，来院時COHb濃度が低値であっても，その後COHbが上昇することがある。来院時COHb 8.7%に対して酸素投与を継続していたにもかかわらず，COHb上昇が続き高気圧酸素療法が導入された症例の報告 4)があることからも，来院時COHb濃度にかかわらず初めから高気圧酸素療法を含めたCO中毒治療を行うべきという意見もある 1), 4)。…”