“…る (83,84) .この 5-オキソプロリンは,OXP1 という別の酵 素によって ATP 依存的に Glu へと再生される (82) .また, もう一つの生成物である Cys-Gly も Cys と Gly に分解さ れ,最終的に GSH は 3 つの構成アミノ酸へと加水分解 される(図 4) .もう一つの細胞質型 GSH 分解酵素であ る GGP にも 5 つのホモログが存在し,そのうち GGP1 と GGP3 は全身で恒常的に発現する (85,86) .GGP は GGC T と 異なり,GSH の Glu 残基をそのまま Glu 分子として分離 するため,OXP1 による ATP 消費がない分エネルギー 効率に優れると考えられる(図 4) (85) .GGP のユニーク な特徴は,GSL 合成経路における GSH 抱合体の分解に も働くことである (86,87) .すなわち,GGP は S の一次代 謝と特化代謝の双方で機能する. −S 下に置かれた植物では, の発現が劇的 に上昇し,GSH 分解が促進される (88) . の変異 株( )は,−S 下において根端における GSH 濃度 が野生型株よりも高く,主根長が増加し,側根の生長が 抑制されなくなるといった表現型を示す (88) .GSH は根端 の分裂活性に不可欠であり,GSH 含量が野生型株の 5% 未満である ( )変異株は,根端 分裂組織を欠く (89) .このことから, における根の を含めた硫黄代謝関連遺伝子の発現を上昇さ せる (94,95) . S 代謝は TOR(target of rapamycin)キナーゼによ る制御も受ける.TOR は代謝や環境の情報を統合し, 生長を制御するマスターレギュレーターである (96) .Cys 前駆体のうち S が不足する場合には,糖の減少を通じて TOR 活性が低下し,翻訳の減少・分裂組織の活性低 下・オートファジーの増加などが引き起こされる (97) , 一 方,C・N(OAS) が 不 足 す る 場 合 に は,GCN2 キ ナーゼによって同様に生長が制御される (97) .加えて, TOR が Cys の用途を GSH 合成からタンパク質合成へシ フトさせること (98) ,TOR 活性が GSL の一種である 3-ヒ ドロキシプロピル GSL の投与によって阻害され,根の 伸長が抑制されること (99)…”