APTTの変化を経時的に追跡しえた後天性血友病Aの1例(Acquired hemophilia A and alteration of activated partial thromboplastin time)

Abstract

要旨後天的に出血傾向を示す疾患に後天性血友病Aがある。今回，意識消失で救急外来に搬送され，入院前からの経時的なAPTTの変化を追跡した本疾患例を経験した。81歳の男性が意識消失と右前胸部の腫脹を主訴に当院搬送された。貧血とAPTTの延長を認め，血液検査結果から後天性血友病Aによる右大胸筋内血腫で貧血となり意識消失したと診断した。また，APTTの延長が増悪した翌日に貧血が進行し，APTTの延長と出血の関連性が示唆された。皮下出血を含めた出血は外来でよく見る疾患であるが，稀に止血困難例が存在し，後天性血友病Aの可能性がある。後天性血友病AでAPTTの延長を認めた際には活動性出血を考慮すべきである。