Al-Ti-B微細化剤におけるTiB₂凝集体サイズと微細化能の関係

Abstract

Al-Ti-B 系微細化剤添加によるアルミニウム合金の結晶粒 微細化メカニズムに関する多くの研究が報告されている。Fanら 2) は高分解能電子顕微鏡(HRSTEM)を用いて微細化剤 中の TiB 2 粒子を観察し，六方晶である TiB 2 粒子の(0001)面 に Al 3 Ti の二次元化合物が存在していることを明らかにした。 Al 3 Ti 二次元化合物はα -Al との整合度が高いため，Al 3 Ti の二 次元化合物を有するTiB 2 粒子は高い微細化能を示すと推定さ れた。また Greer ら 3), 4) は Maxwell と Hellawell が提唱した結晶 粒の成長に関する物理モデルである M-H モデル 5) に，臨界過 冷度以上に冷却されたTiB 2 粒子からα-Al核が自由に成長を開 始(以下，自由成長)する仮定を加えた Free growth model を 提唱した。Free growth model ではサイズが大きい TiB 2 粒子ほ ど自由成長を開始するために必要な臨界過冷度が小さい。そ のため冷却速度と潜熱放出量の熱的なバランスで，自由成長 を開始する最小の TiB 2 粒子サイズが決定される。したがって 微小な TiB 2 粒子は核生成に寄与しないと予測され，添加され たTiB 2 粒子個数に対して結晶粒数が非常に少ない事実を矛盾 なく説明できている。Free growth model では TiB 2 粒子単体か ら自由成長すると仮定しているが，Furuta ら 6) は微細化剤を 添加した鋳塊の結晶粒を X 線コンピュータ・トモグラフィー (CT)で観察し，核生成サイトと考えられる TiB 2 粒子が凝集 体を形成していることを明らかにした。また著者は Free growth model をベースとして，すべての溶湯成分の成分値， 1 株式会社 UACJ R&D センター(〒455-8670 愛知県名古屋市港区千年 3-1-12) Research & Development Division, UACJ Corporation(3-1-12, Chitose, Minato-ku, Nagoya-shi, Aichi 455-8670)