A Neuroendocrine Tumor in the Ampulla of Vater along with Main-Duct Intraductal Papillary Mucinous Neoplasm

Abstract

安次富裕哉 1) 渡邊 利広 1) 菅原秀一郎 1) 蘆野 光樹 1) 髙橋 良輔 1) 中野 亮 1) 樺澤 崇允 2) 木村 理 1) 1) 山形大学医学部外科学第一講座 2) 山形大学医学部病理診断学講座 症例は 78 歳の女性で，肝胆道系酵素の上昇のため当院へ紹介された．CT で十二指腸乳頭部に低濃度腫 瘤を認め，動脈相では一部が高濃度に造影された．また，下膵頭後部に造影される腫大リンパ節を認めた． 超音波内視鏡検査で主膵管内に高エコー腫瘤，膵頭部背側に腫大リンパ節を認めた．ERCP で主膵管内に 腫瘍による透亮像があり，膵管内超音波検査では主膵管内腫瘍は乳頭部に連続していた．十二指腸乳頭開 口部には露出腫瘤型の腫瘍があり，生検で tubulovillous adenoma であった．十二指腸乳頭部内分泌腫瘍も しくは十二指腸乳頭部癌の主膵管内進展として膵頭十二指腸切除術を施行した．病理組織学的検査ではリ ンパ節転移を伴う十二指腸乳頭部神経内分泌腫瘍と主膵管型膵管内乳頭粘液性腺腫が併存していた．この ような症例は非常にまれと考えられ，術前診断も困難であった． キーワード：神経内分泌腫瘍，膵管内乳頭粘液性腫瘍，リンパ節転移 はじめに 十二指腸乳頭部神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor；以下，NET と略記)はまれであるが，1 cm 以下 の微小腫瘍であってもリンパ節転移を来す可能性は決して低くない 1 ) ．その一方で膵管内乳頭粘液性腫瘍 (intraductal papillary mucinous neoplasm；以下，IPMN と略記)や通常型膵管癌に NET が併存していたとい う報告 2 )～ 4 ) は散見され，膵内・外分泌腫瘍の発生においては相互に関連がある可能性が指摘 5 ) されている が，十二指腸乳頭部 NET と IPMN の併存に関する報告はない．今回，我々はリンパ節転移を伴う微小十二 指腸乳頭部 NET に，乳頭部から連続する主膵管型 IPMN を伴った非常にまれな 1 例を経験したので報告す る． 症 例 患者：78 歳，女性 主訴：なし． 既往歴：高血圧症(18 歳) ，卵巣囊腫(24 歳) ，うつ病(58 歳) ，急性膵炎(75 歳) 現病歴：近医で肝胆道系酵素の上昇を指摘され，腹部 US，単純 CT で十二指腸乳頭部癌が疑われ，精査 加療目的に当院へ紹介された． 入院時現症：身長 153 cm，体重 42.4 kg，体温 36.9°C，血圧 109/66 mmHg，脈拍 80 回/分． 〈2019 年 3 月 27 日受理〉別刷請求先：安次富裕哉 〒 990-9585 山形市飯田西 2-2-2 山形大学医学部外科学第一講座 日本消化器外科学会雑誌．2019;52(8):456-464 症例報告 Key Words: neuroendocrine tumor, intraductal papillary mucinous neoplasm, lymph node metastasis [Jpn J Gastroenterol Surg. 2019;52(8):456-464]