Untitled

Abstract

橘：本日は座談会に御参加頂きまして，ありがとうござ います．最初に，現在取り組んでいる研究テーマにつ いて，簡単に教えて頂けますでしょうか？ 永島：研究テーマは， 「無線給電システムの高効率化」 です．無線給電システムは基本的に， インバータ， 無線 結合部，整流器で構成されます．システム全体を高効 率化するためには，三つの構成要素全ての高効率化が 重要です．現在は特に，高効率を達成可能な新しいシ ステム構成及びその設計手法の提案を行っています． 豊田：研究テーマは「セキュリティ & プライバシー」 です．具体的な研究内容としては，センサ端末やス マートフォン向けの軽量な端末間の認証方式，IP 電 話の普及に伴う迷惑電話発信者の検知手法， RFID(電 波による個体識別)を用いた安全な物流管理システム の検討などを行っています． 沈 ：私は，将来大容量通信を支える基盤となる「光ネッ トワーク技術」を研究しています．今までの通信需要 に応じて可変帯域を割り当てる検討は，高い周波数使 用率を達成できる一方，高コスト化が課題となりま す．そこで私は，各通信需要の必要帯域ごとに一定の 周波数配置間隔を設定するコスト面で優れた方式を 提案し，その効果を実証しています． 下平：広い範囲に信号が伝送できる「マクロ基地局」と， 限られた狭い範囲に信号を伝送する「ピコ基地局」を 組み合わせた「ヘテロジニアスセルラネットワーク」 と呼ばれる次世代の携帯電話ネットワークに関して， 基地局の設置位置や，通信リソース配分，及び端末の 接続基地局の最適化等を行っています． 村上：アンテナの課題である薄形・小形設計を，自然界 に存在しない特性を持つ 「メタマテリアル」 を用いて解 決する方法があります．メタマテリアルの一例として， 表面での反射位相が 0°の特性を持つものなどがありま す．私の研究は，そのメタマテリアルを用いたアンテ ナ設計の最適化と設計法の確立を行うことです． 藤橋：多様なネットワーク上での効率的な「複数視点映 像の伝送手法」について研究しています．複数視点映 像は，3D 映像や自由視点映像といった次世代の映像 技術を支える技術として注目されています．この研究 を進めることで，部屋にいながら，まるで別の場所に 座談会参加者： 金井謙治 Kenji Kanai，早稲田大学 D3 豊田健太郎 Kentaroh Toyoda，慶應義塾大学 D2 沈 志舒 Zhi-shu Shen，名古屋大学 D3 永島和治 Tomoharu Nagashima，千葉大学 D2 村上靖宜 Yasutaka Murakami，福井大学 D3 下平英和 Hidekazu Shimodaira，東京工業大学 D1 諶 璐 Lu Chen，大阪大学 D2 藤橋卓也 Takuya Fujihashi，大阪大学 D1 司会： 記録係： 橘 拓至 Takuji Tachibana 浦山康洋 Yasuhiro Urayama，福井大学 D1 情報通信技術の研究・開発分野では，世界の舞台で活躍するために「博士号」が必要となる場合があり ます．この博士号を取得するには，博士後期課程(博士課程)に進学して課程を修了することで博士号を 取得する方法(課程博士)と，論文審査により研究能力を認定されて博士号を取得する方法(論文博士) の 2 通りがあります．本座談会では，博士後期課程に進学して博士号の取得を目指している学生の皆さん に集まって頂き，博士後期課程での研究活動や生活，博士号取得後の進路などについて語って頂きました． この座談会を通じて，博士後期課程が一体どんなところか，博士後期課程の学生がどんな生活をしている のか，といった疑問に少しでも答えられたらと思います．また，博士後期課程学生の皆さんが博士号取得 に向けて頑張っているということを，読者の皆様に知って頂けたらと思います． 258 通信ソサイエティマガジン No.32 春号 2015 ⓒ電子情報通信学会 2015 博士後期課程ってどんなところ？ ─博士後期課程学生の座談会─ 解 説 研究者を目指すには