COVID–19禍における救急科臨床実習についての現状～学生と教員の視点から～(Clinical clerkship in the emergency department during the COVID–19 pandemic: perspectives of medical students and faculty)

Abstract

要旨【目的】コロナウイルス感染症2019（COVID–19）のパンデミックは世界中の医学教育に大きな影響を及ぼした。様々な制限下に行われる医学臨床実習に，医学生の意見や考えがどの程度反映されているかは不明であり，医学生と教員の視点の相違は十分に検討されていない。医学生と教員の双方の視点から教育評価を行うことで，パンデミック下での臨床実習のあり方を検討する。【対象】2020年1月から2021年6月（第1～5波）までに救命救急科をローテーションした全医学生と全救命救急科教員を対象として，COVID–19禍における診療参加型臨床実習に関するアンケート調査を横断的に行った。【結果】アンケート回収率・有効回答数は，医学生は65%（157 / 242），教員は100%（27 / 27）。診療に不安を感じる医学生は半数近くいた。一方，教員は診療参加を是とする意見は約半数であった。また陽性患者の診察は病室外見学が医学生・教員ともに最多回答で，感染が確定していない場合は見学にすべきとの回答があった。【結語】7割近くの医学生はCOVID–19診療に不安を感じているが，教職員の約半数はCOVID–19診療に参画すべきであると考えていた。診断のついていない患者を診察するのが救急科の特徴であり，医学生の安全を担保する目的でも救急初療では未知の感染性疾患に対しては『非接触型実習』を，診断確定後，安全が確保された環境下では『接触型実習』が望まれる。教職員は医学生の安全な環境作りをすることが求められる。